2008,12,21, Sunday
登山で活用する測量野帳。“トレイル・レコーディング”のすすめ
“トレイル・レコーディング”。登山用語としてはほとんど聞き慣れない、というか、はじめて聞く言葉だと思います。実は僕が考えた造語です。文法的には正しくないかもしれません。意味は、一歩進んだ山行記録、ひとまずそんなふうにとらえてください。

山行記録というと、日時、メンバー、行程(コース)、主要な地点の到着・出発時刻(コースタイム)、このあたりが最低限の記入項目でしょうか。山行計画(登山届)に当日の行動を書き加えたものといってもよいでしょう。前述したように、僕はこの山行記録の積み重ねを自分のための“登山マイレージ”と呼んでいます。

山行記録というと、日時、メンバー、行程(コース)、主要な地点の到着・出発時刻(コースタイム)、このあたりが最低限の記入項目でしょうか。山行計画(登山届)に当日の行動を書き加えたものといってもよいでしょう。前述したように、僕はこの山行記録の積み重ねを自分のための“登山マイレージ”と呼んでいます。
記憶がもっとも新鮮なうちに
興味や発見を書きとめる
“トレイル・レコーディング”は、山行記録をもう一歩進めて、山の自然科学や歴史、地理などへも興味を深めていくねらいがあります。行程やコースタイムに加え、歩いたコース(トレイル)を記録しながら、トレイルの特徴や景観、周囲の植生、さらに自分なりの印象や評価なども記録していきます。しかも、それらを山から帰ってからではなく、登山中リアルタイムに記録するのが基本。山を歩いていて発見したこと、興味をもったこと、その記憶がもっとも新鮮なうちに書きとめる。これが“トレイル・レコーディング”の醍醐味。いわばライブな登山日記が“トレイル・レコーディング”です。

“トレイル・レコーディング”の中身は、たいてい自分にしかわからない走り書き、なぐり書きなのですが、それでも読み返してみると、あの日、あの山で、自分がなにを感じたのか、風景とともに山の印象や感動がよみがえってきます。

“トレイル・レコーディング”は、線を引きながら歩いた道のり記録していくことが基本となりますが、それ以外は自由です。歩いていて目にとまった沿道の草花や樹木、古い石碑や地蔵、あるいは地面の感触などでもいいでしょう。歩き進むにつれ移り変わる天候を記録するのでもかまいません。あくまで自分の興味の対象を記録すればいいのです。
そうは言っても、はじめのうちはなにを記録すればよいか試行錯誤したり、さほどメモを残せないかもしれません。でも、“トレイル・レコーディング”を続けていくと、しだいに自分の興味がはっきりしてきて、記録したいことが増えてくるものです。ほかでもなく、それは山に出かける楽しみが広がっている証拠。そうなると、以前に行ったことのある山でも、もう一度、出かけてみようという気になったり、歩き慣れた道でも新しい発見があります。

“トレイル・レコーディング”におすすめ手帳が、このブログでおなじみの測量野帳です。測量手帳が山に向いていて使いやすいことは前述しましたが、山ではメモを録るのになにかと制約が多いもの。ふつう登山は、スケジュールを決めて行動しますので、メモを録るためにそうそう立ちどまってはいられません。ですから“トレイル・レコーディング”では、できるだけ素早く、簡潔にメモを録る工夫が必要になってきます。
野帳に地形図を貼り込み
メモするたび読図も


まず行動中、いつでも取り出しやすいよう、測量野帳は、ペンとともにザックのウエストベルトに装着できるポーチに収納して携行しています。ポーチには、読図のためのコンパス(方位磁石)も入れてありますが、地形図は必要な範囲をパソコンからプリントし、あらかじめ野帳のページに貼り込んでおきます。プリントする地形図は、地図センターでダウンロード販売している数値地図(地図画像)を利用しています。

野帳に地形図を貼っておくと、場所や区間を特定したいメモを録るときに参照しやすく、ときには貼り込んだ地形図上に直接、メモを書き込むこともあります。地形図を貼ると、野帳のコシ(厚み)が増し、手に持って書きやすくなるという利点もあります。ほかに山行計画書(登山届)や必要に応じて交通機関の時刻表なども貼り込みます。これらが“トレイル・レコーディング”の事前準備です。
したがって“トレイル・レコーディング”は、必ず地形図を持ち、こまめに読図する習慣をつくる、事前準備を通じて机上登山をするというねらいもあります。

ところで、地形図と資料類の携行については、この秋から使いはじめたiPhoneが重宝していますが、万一の機器トラブルやバッテリー切れを考えると、やはり紙として持つのが安心、確実ですね。同様にGPSを持っても、アナログコンパスは欠かせません。
現地では、野帳を横にして上下に開き、見開き一面を記入スペースとして使います。メモはたいてい立ったまま走り書きしますので、細かい記述はたいへんです。ページはけちけちせず大胆に使います。以前、素直に1ページごと使っていたこともありましたが、それだど記入面がせまくて苦労しました。ページに収めるために細かく書こうとするあまり、かえってメモがはかどらないという経験があるのです。

トレイルは見開いたページの中央に、下から上へと線を伸ばしていきます。つまりページの上が進行方向となります。こうすると、ページの両端に余白が生まれますが、このスペースには休憩時など、あとで情報を追記することもあります。もし追記することがなく、余白のままでもあっても気にせず、トレイルをページの上まで伸ばしたら、新しいページを使います。ページの端は、机のような台がないと書きにくいというのも理由です。

記号や絵文字を使って
素早くメモする
また、野帳にルートなどを記述する場合、ページの上が北になるよう書く、という方法もあるようです。地図に即したルート図というわけですが、試しに実行したら、方位の確認が煩雑になってしまったので、それはやめました。たぶん僕の書き方もわるかったのでしょう。
それと、下りが続く区間では、ページの上から下へ向かって書いたこともあるのですが、小ピークへの登り返しにさしかかったとき、「そうだよな。山の地形はそんなに単純じゃないよな」と悩んで自滅。以来、必ずページの下から上に向かって書くことを自己ルールにしてます。アップダウンを表現したいときは、矢印を書き入れ、鞍部(コル)にはイコールの記号を使います。地形が複雑なところは、断面図を並行して書くこともあります。

コース概念図には、ザレ、ガレ、木段、クサリ場など登山道の特徴や植生も書き入れますが、これは記号のほか、絵文字(ごく単純なイラスト)を使って素早くメモします。絵文字は、地図記号を応用したもののほか、自分で考えたオリジナルもあります。絵で表現しにくい情報は文字で筆記しますが、カタカナか、かなりのくずし字になることもしばしば。あとで自分が読み返したときにわかればいいので、記述自体はラフで構わないのです。ときには自分でも判別できないほどのなぐり書きもありますが、ま、たいていメモの前後関係から推定できるものです。それにデジカメによる記録も併用していれば、画像で補完できます。


下山して帰宅したら、現地で書ききれなかったことを追記することもありますが、清書したり、別のノートへ転記することはしません。あくまで行動中に記述したことをそのまま残しておきます。清書をしないほうがいい、ということではありませんが、整理に手間をかけないことが“トレイル・レコーディング”を長続きさせるコツのひとつだと思います。


彩色すると視覚的に
見違える記録になる
もし整理の手間を惜しまないのであれば、メモに色をつけてみるといいでしょう。とくに登山道の特徴や植生は、色鉛筆や水彩絵の具などを使って彩色しておくと、視覚的にわかりやすい記録となります。露地を茶色、河川を水色、森林を緑色、この程度の彩色をするだけで、見違える記録になります。また絵を描くことにそれほど慣れていなくても、絵の具を使って彩色する作業は楽しいものです。


彩色には、日本画や絵手紙で用いられる顔彩の携帯セット、筆は、スポイトの先に毛筆がついたような水筆を使っています。僕の場合、彩色はもっぱら帰宅後のデスクワークにしていますが、この顔彩セットは、コンパクトなので、山に持っていくのにも便利です。




なお、水溶性の絵の具で彩色するのは、必ず1冊書き終わってから。あるいはページが余っていても、彩色したらそれで1冊、完了とします。そうしないと、次の山で、もし雨や霧、それに自分の汗で野帳をぬらしてしまったとき、絵の具が流れてしまいます。
幸い、その失敗はありませんが、以前、筆記しやすいからと万年筆でメモしたとき、自分の汗がぽたっと落ちて、せっかく書いたメモがにじんで読めなくなってしまった経験があります。筆記には油性ボールペンか鉛筆、雨天や濃霧時には耐水仕様の測量野帳を使うのが基本です。僕はスペアのボールペンと耐水仕様の野帳を必ず持っていきます。


書き終わった野帳は、しばらくゴムバンドで束ねておくだけでしたが、冊数が増えたので、なにか収納ケースはないかと探してみました。いまのところ100円ショップで見つけたMDケースがちょうどよく、これに収納してます。さらに2、3冊の野帳を1冊に合本する自家製本にも挑戦してみました。カバーにmoleskine(モールスキン/モレスキン)ライクな合皮を貼ったら高級感のある仕上がりになりました。自家製本はけっこう手間暇が必要なので、その後は中断していますが、もしリクエストがありましたら、機会をつくって自家製本の方法と手順を紹介したいと思います。


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興味や発見を書きとめる
“トレイル・レコーディング”は、山行記録をもう一歩進めて、山の自然科学や歴史、地理などへも興味を深めていくねらいがあります。行程やコースタイムに加え、歩いたコース(トレイル)を記録しながら、トレイルの特徴や景観、周囲の植生、さらに自分なりの印象や評価なども記録していきます。しかも、それらを山から帰ってからではなく、登山中リアルタイムに記録するのが基本。山を歩いていて発見したこと、興味をもったこと、その記憶がもっとも新鮮なうちに書きとめる。これが“トレイル・レコーディング”の醍醐味。いわばライブな登山日記が“トレイル・レコーディング”です。

“トレイル・レコーディング”の中身は、たいてい自分にしかわからない走り書き、なぐり書きなのですが、それでも読み返してみると、あの日、あの山で、自分がなにを感じたのか、風景とともに山の印象や感動がよみがえってきます。

“トレイル・レコーディング”は、線を引きながら歩いた道のり記録していくことが基本となりますが、それ以外は自由です。歩いていて目にとまった沿道の草花や樹木、古い石碑や地蔵、あるいは地面の感触などでもいいでしょう。歩き進むにつれ移り変わる天候を記録するのでもかまいません。あくまで自分の興味の対象を記録すればいいのです。
そうは言っても、はじめのうちはなにを記録すればよいか試行錯誤したり、さほどメモを残せないかもしれません。でも、“トレイル・レコーディング”を続けていくと、しだいに自分の興味がはっきりしてきて、記録したいことが増えてくるものです。ほかでもなく、それは山に出かける楽しみが広がっている証拠。そうなると、以前に行ったことのある山でも、もう一度、出かけてみようという気になったり、歩き慣れた道でも新しい発見があります。

“トレイル・レコーディング”におすすめ手帳が、このブログでおなじみの測量野帳です。測量手帳が山に向いていて使いやすいことは前述しましたが、山ではメモを録るのになにかと制約が多いもの。ふつう登山は、スケジュールを決めて行動しますので、メモを録るためにそうそう立ちどまってはいられません。ですから“トレイル・レコーディング”では、できるだけ素早く、簡潔にメモを録る工夫が必要になってきます。
野帳に地形図を貼り込み
メモするたび読図も


まず行動中、いつでも取り出しやすいよう、測量野帳は、ペンとともにザックのウエストベルトに装着できるポーチに収納して携行しています。ポーチには、読図のためのコンパス(方位磁石)も入れてありますが、地形図は必要な範囲をパソコンからプリントし、あらかじめ野帳のページに貼り込んでおきます。プリントする地形図は、地図センターでダウンロード販売している数値地図(地図画像)を利用しています。

野帳に地形図を貼っておくと、場所や区間を特定したいメモを録るときに参照しやすく、ときには貼り込んだ地形図上に直接、メモを書き込むこともあります。地形図を貼ると、野帳のコシ(厚み)が増し、手に持って書きやすくなるという利点もあります。ほかに山行計画書(登山届)や必要に応じて交通機関の時刻表なども貼り込みます。これらが“トレイル・レコーディング”の事前準備です。
したがって“トレイル・レコーディング”は、必ず地形図を持ち、こまめに読図する習慣をつくる、事前準備を通じて机上登山をするというねらいもあります。

ところで、地形図と資料類の携行については、この秋から使いはじめたiPhoneが重宝していますが、万一の機器トラブルやバッテリー切れを考えると、やはり紙として持つのが安心、確実ですね。同様にGPSを持っても、アナログコンパスは欠かせません。
現地では、野帳を横にして上下に開き、見開き一面を記入スペースとして使います。メモはたいてい立ったまま走り書きしますので、細かい記述はたいへんです。ページはけちけちせず大胆に使います。以前、素直に1ページごと使っていたこともありましたが、それだど記入面がせまくて苦労しました。ページに収めるために細かく書こうとするあまり、かえってメモがはかどらないという経験があるのです。

トレイルは見開いたページの中央に、下から上へと線を伸ばしていきます。つまりページの上が進行方向となります。こうすると、ページの両端に余白が生まれますが、このスペースには休憩時など、あとで情報を追記することもあります。もし追記することがなく、余白のままでもあっても気にせず、トレイルをページの上まで伸ばしたら、新しいページを使います。ページの端は、机のような台がないと書きにくいというのも理由です。

記号や絵文字を使って
素早くメモする
また、野帳にルートなどを記述する場合、ページの上が北になるよう書く、という方法もあるようです。地図に即したルート図というわけですが、試しに実行したら、方位の確認が煩雑になってしまったので、それはやめました。たぶん僕の書き方もわるかったのでしょう。
それと、下りが続く区間では、ページの上から下へ向かって書いたこともあるのですが、小ピークへの登り返しにさしかかったとき、「そうだよな。山の地形はそんなに単純じゃないよな」と悩んで自滅。以来、必ずページの下から上に向かって書くことを自己ルールにしてます。アップダウンを表現したいときは、矢印を書き入れ、鞍部(コル)にはイコールの記号を使います。地形が複雑なところは、断面図を並行して書くこともあります。

コース概念図には、ザレ、ガレ、木段、クサリ場など登山道の特徴や植生も書き入れますが、これは記号のほか、絵文字(ごく単純なイラスト)を使って素早くメモします。絵文字は、地図記号を応用したもののほか、自分で考えたオリジナルもあります。絵で表現しにくい情報は文字で筆記しますが、カタカナか、かなりのくずし字になることもしばしば。あとで自分が読み返したときにわかればいいので、記述自体はラフで構わないのです。ときには自分でも判別できないほどのなぐり書きもありますが、ま、たいていメモの前後関係から推定できるものです。それにデジカメによる記録も併用していれば、画像で補完できます。


下山して帰宅したら、現地で書ききれなかったことを追記することもありますが、清書したり、別のノートへ転記することはしません。あくまで行動中に記述したことをそのまま残しておきます。清書をしないほうがいい、ということではありませんが、整理に手間をかけないことが“トレイル・レコーディング”を長続きさせるコツのひとつだと思います。


彩色すると視覚的に
見違える記録になる
もし整理の手間を惜しまないのであれば、メモに色をつけてみるといいでしょう。とくに登山道の特徴や植生は、色鉛筆や水彩絵の具などを使って彩色しておくと、視覚的にわかりやすい記録となります。露地を茶色、河川を水色、森林を緑色、この程度の彩色をするだけで、見違える記録になります。また絵を描くことにそれほど慣れていなくても、絵の具を使って彩色する作業は楽しいものです。


彩色には、日本画や絵手紙で用いられる顔彩の携帯セット、筆は、スポイトの先に毛筆がついたような水筆を使っています。僕の場合、彩色はもっぱら帰宅後のデスクワークにしていますが、この顔彩セットは、コンパクトなので、山に持っていくのにも便利です。




なお、水溶性の絵の具で彩色するのは、必ず1冊書き終わってから。あるいはページが余っていても、彩色したらそれで1冊、完了とします。そうしないと、次の山で、もし雨や霧、それに自分の汗で野帳をぬらしてしまったとき、絵の具が流れてしまいます。
幸い、その失敗はありませんが、以前、筆記しやすいからと万年筆でメモしたとき、自分の汗がぽたっと落ちて、せっかく書いたメモがにじんで読めなくなってしまった経験があります。筆記には油性ボールペンか鉛筆、雨天や濃霧時には耐水仕様の測量野帳を使うのが基本です。僕はスペアのボールペンと耐水仕様の野帳を必ず持っていきます。


書き終わった野帳は、しばらくゴムバンドで束ねておくだけでしたが、冊数が増えたので、なにか収納ケースはないかと探してみました。いまのところ100円ショップで見つけたMDケースがちょうどよく、これに収納してます。さらに2、3冊の野帳を1冊に合本する自家製本にも挑戦してみました。カバーにmoleskine(モールスキン/モレスキン)ライクな合皮を貼ったら高級感のある仕上がりになりました。自家製本はけっこう手間暇が必要なので、その後は中断していますが、もしリクエストがありましたら、機会をつくって自家製本の方法と手順を紹介したいと思います。


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| 仕事術・ワークスタイル | 09:19 PM | comments (0) | trackback (0) |
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